韓国大統領の“悲劇の連鎖”はなぜ止まらないか

CHANELバッグを受け取る韓国大統領の妻 時事ひとしずく

韓国の特別検察官は13日、あっせん収財や政治資金法違反などの疑いで、尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領の妻金建希(キムゴンヒ)容疑者を逮捕したと報じています。
今回、夫婦揃って収監されるのは初めての案件だそうです。

それにしても、韓国の歴代大統領はどうも悲しい末路を迎えることが多くないか?と思い、1980代にまでさかのぼって調べてみました。

韓国の近年の歴代大統領とその末路(1980年代以降)

※在任終了後の出来事を中心に簡略化

大統領任期退任後の経緯
全斗煥(チョン・ドゥファン)
1931年3月6日 – 2021年11月23日
1980〜1988光州事件などで死刑判決(後に減刑)、服役、恩赦
盧泰愚(ノ・テウ)
1932年12月4日 – 2021年10月26日
1988〜1993収賄などで服役、恩赦
金泳三(キム・ヨンサム)
1929年1月14日 – 2015年11月22日
1993〜1998法的処罰なし、次男が収賄で逮捕
金大中(キム・デジュン)
1924年1月6日 – 2009年8月18日
1998〜2003無事に引退、民主化象徴として活動
盧武鉉(ノ・ムヒョン)
1946年9月1日 – 2009年5月23日
2003〜2008側近汚職捜査中に自殺
李明博(イ・ミョンバク)
1941年12月19日 –
2008〜2013収賄・横領で服役、2022年に特赦
朴槿恵(パク・クネ)
1952年2月2日 –
2013〜2017弾劾罷免後、収賄・職権乱用で服役、2021年に特赦
文在寅(ムン・ジェイン)
1953年1月24日 –
2017〜2022退任後は捜査対象になる動きもあったが、現時点で逮捕なし。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)
1960年12月18日 –
2022〜2025弾劾罷免・逮捕、妻も株価操作疑いで逮捕

なぜ韓国で大統領経験者がこうなりやすいのか

いくつかの構造的な要因が指摘されています。

  1. 強い大統領制と一極集中権力
    • 韓国は米国型の大統領制ですが、政党基盤や議会とのバランスが弱く、在任中は大統領の権限が非常に強い。
    • その反動で、退任後に権力を失うと一気に政治的な防御力を失う。
  2. 政権交代時の「清算文化」
    • 新政権は前政権の不正を厳しく追及するのが通例。
    • 国民の間にも「けじめをつけるべき」という世論が強い。
  3. 財閥・政界の癒着構造
    • 財閥との関係や資金調達の不透明さが、退任後に捜査の標的になる。
  4. 急速な民主化と政治文化の過渡期
    • 1987年の民主化以降、制度は民主主義だが、政治対立が非常に激しく、勝者総取りの傾向が強い。
    • 他の成熟した先進国より「前政権の失政を裁く」ことが政治的に正当化されやすい。

他の先進国との違い

  • 米国や西欧では、元首相・元大統領が起訴されるケースは稀で、仮にあっても政治報復色は薄く、比較的軽い罪か民事裁判が多い。
  • 韓国の場合は、刑事罰・実刑判決・服役まで行く確率が突出して高い。
  • これは「民主化が比較的新しく、政治的報復文化が残っている国」に近い傾向で、南米の一部や台湾の一時期とも似ています。

まとめ

日本の総理大臣も短い任期でころころ代わりがちだと思っていましたが、辞めてからも心穏やかな生活を送れない国のトップもいかがなものかと思います。お隣の国の事情ですが、みんな平和な世界になってほしいと願います。

タイトルとURLをコピーしました