「一生に一度」緑の奇跡!彗星 C/2025 A6 (Lemmon)(レモン彗星)を日本で観る方法とベストタイミング

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2025年の秋、夜空に現れる“緑色の旅人”──彗星「レモン彗星」こと C/2025 A6 (Lemmon) が、北半球、特に日本からも観測できる可能性が高まっています。本記事では、彗星の基礎知識、観測可能な時期、さらに日本から観測しやすくするためのポイントを網羅的にご紹介します。


1. レモン彗星とは何か?

レモン彗星(C/2025 A6 Lemmon)は、2025年1月に米国アリゾナ州の Mount Lemmon Survey によって発見された彗星です

この彗星の特徴は以下のとおりです。

  • 元々は暗かったにも関わらず、太陽系内に近づくにつれて急速に明るくなっている点。
  • その頭部が緑色に輝く、いわゆる“グリーン・コメット”。この緑色は主に二原子炭素(C₂)が太陽光で分解されて発光するためと考えられています。
  • この接近後、しばらくの間我々の視野から消え、次の観測機会は1,150年先になる可能性が高いという「一生もの」の観測チャンスとも言えます。

つまり、天文学的にも観測機会として非常に貴重な対象であり、秋の夜空でその姿を捉えられたら、なかなかない体験です。

情報公開の状況

  1. NASA JPL Small-Body Database
    • Lemmon彗星(C/2025 A6)の軌道要素や予測位置、近日点・遠日点、次回接近年などが閲覧可能です。
  2. Minor Planet Center (MPC)
    • 公式データが確認可能
    • 次回接近が3175年と計算されていることも、軌道計算の結果として公開されています。

「C/2025 A6 (Lemmon)」は学術的な正式名称です。
彗星の命名規則に則った名前で、天文学者や観測者が国際的に統一して識別できるようになっています。

2. 日本で観られるのはいつ?観測可能な期間とピーク

日本からこの彗星を観測するうえで、時期と条件が非常に大切です。

① 観測可能期間

複数の天文情報によれば、以下のような期間が「観測に適している」と予想されています。

  • 2025年10月20日〜10月31日:夕方〜夜の時間帯、低空の西〜南西〜南方向で観測しやすい。双眼鏡があると見やすく、街明かりの少ない場所がおすすめ。
  • 2025年10月21日頃:地球最接近が予想されており、観測チャンスのピーク。
  • 2025年11月上旬~中旬まで:近日点通過が11月8日で、11月中旬頃までは観測可能性あり。ただし、時間が経つにつれて観測条件が悪化する見込み。

彗星の見え方は日付・時間・方角によって変わります。以下は、日本国内で観測しやすい目安です。※日本向けの観測時間は推定です。実際の条件は地域や天候によって異なります。

日付時間帯(日本時間)方角特徴・観測のポイント
2025年10月20日〜25日19:30〜21:00西〜南西夕方の空低くに出現。まだ尾は短め。双眼鏡があると見やすい。
2025年10月26日〜31日20:00〜21:30南西〜南高度が少し上がり観測しやすくなる。街明かりの少ない場所が望ましい。
2025年11月1日〜5日20:30〜22:00南〜南東尾が長くなり、肉眼でも確認できるチャンス。双眼鏡やカメラで撮影もおすすめ。
2025年11月6日〜10日21:00〜22:30南東〜東高度は高めで観測条件良好。月明かりがある日は影響に注意。

② 明るさの予想

観測しやすさ(明るさ)の観点からも期待があります

③ 日本で“実用的”な観測期限

日本国内から実際に観察できるのは、11月下旬までには難しくなると多くの情報で指摘されています。特に、11/20前後が一つの目安とされており、以降は地平高度が低くなり、太陽や明るい空との距離(離角)が小さくなるためです。

以上をまとめると、2025年10月中旬〜11月初旬が日本で観測する最適なタイミングといえそうです。


3. どうやって観測しやすくするか?実践ガイド

せっかくのチャンスですから、できるだけきれいに、そして確実に観たいところ。ここでは観測しやすくするためのポイントを整理します。

① 観測場所の選び方

  • できるだけ光害の少ない場所を選びましょう。市街地の明るい空では、4〜5等級程度の天体は見えづらくなります。例えば、山間部や離島、星空保護区などが理想です。
  • 彗星が低めの高度にあることが多いため、「西〜北西方向」「北東〜東方向」の地平線が開けている場所が望ましいです。建物や樹木などで視界が遮られないようにしましょう。

② 観測時間帯・方向

  • 夕方~宵(日没後30〜60分程度)に、西〜北西の低空に探すのが一つの好タイミングです。15日以降、宵の空でも観測可能になると報じられています。
  • 未明~明け方(日の出60分前〜30分前程度)に、北東〜東の空で探すという方法もあります。上旬〜中旬はこの時間帯が有利です。
  • 双眼鏡や小型望遠鏡を活用すると、彗星の尾や淡い部分まで捉えやすくなります。肉眼でも条件が整えば見える可能性がありますが、光害・天候・空の明るさの影響を受けやすいです。

③ 観測・撮影のヒント

  • 快晴で風も少ない夜がおすすめです。月明かりが少ない時間帯を選ぶと、よりコントラストの高い観測ができます。特に10月20日頃は月明かりの影響も少ないとされています。
  • 撮影を考えている場合、焦点距離100 mm前後の中望遠レンズ+フルサイズカメラ、三脚固定、露光10〜20秒程度などが紹介されています。尾が長く伸びる可能性があるため、広めの画角を確保すると良いでしょう。
  • 星図アプリや天文アプリで、当日の日時・場所における彗星の位置(方位・高度)をチェックしておくと、現場で迷いにくくなります。

4. 注意点と覚えておきたいこと

せっかく観測するなら、失敗を避けたいポイントも押さえておきましょう:

  • 予想通り明るくなるとは限りません。予想の幅があり、「4等級前後になる可能性あり」という報告がある一方、「肉眼は難しいかも」という慎重な意見もあります。
  • 低空に位置するため、地平線の障害(建物・木・地形)や大気の揺らぎ(低高度だと大気の影響を受けやすい)により、見えにくくなる可能性があります。観測スポットはできるだけ高台・視界の開けた場所を選びましょう。
  • 天候・月明かり・街明かり・透明度など、地上の条件次第で「見える/見えない」が大きく変わります。観測前夜に天気予報・月齢をチェックし、柔軟に発動できる準備をしておきましょう。

5. まとめ — 今秋は夜空を“レモン色”に注目

レモン彗星を日本から観測するなら、2025年10月中旬〜11月上旬が最も適したタイミング。夕方の西〜北西の低空、または明け方の北東〜東の空を探すこと。光害の少ない場所・月明かりの少ない時間帯を選び、双眼鏡を手元に準備しておけば、より確実にその姿を捉えられる可能性が高まります。

「一生に一度」という言葉があながち誇張ではないこの機会、ぜひ“緑の彗星”を探しに夜空を見上げてみてはいかがでしょうか。


(※本記事は2025年10月20日時点の天文予報・情報に基づいています。実際の観測条件は地域・天候・光害などにより異なりますので、最新の天文ニュース・観測情報をご確認のうえ、お楽しみください。)

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