茶席の作法 完全ガイド*Complete Guide to Tea Ceremony Etiquette

茶席の風景 Food

茶道の客としての基本的な流れと心得を、わかりやすく一つにまとめました。静かな所作と心構えを大切にするための実践ガイドです。

入会前の準備(心・身・持ち物)

茶席に臨む前の心構え、服装、持ち物を確認しましょう。見た目だけでなく、香りや静けさにも配慮します。

  • 心の準備:和敬清寂(わけいせいじゃく)を意識する。
  • 身だしなみ:控えめで清潔。強い香水は避ける。
  • 主な持ち物:懐紙、扇子、黒文字、帛紗、数寄屋袋。

主な持ち物は本格茶会・正式茶事の場合、持参推奨です。
体験型・観光茶席の場合は用意されているので手ぶらでOKです。

露地から茶室へ(入席)

露地での手水、躙口(にじりぐち)からの入室など、入る前と入った直後の所作を説明します。

  1. 手水の作法:左・右・口→柄杓を立てて清める(心身の清め)。
  2. にじり口:頭を下げて入る。床の間に向かって一礼。

席入り・着座の作法

席入りの順序、畳での座り方、扇子の置き方など基本的な流れ。

  1. 主客(しゅきゃく)が先に入る。床の間に近い方が上座。
  2. 扇子は前に斜めに置く(開かず)。背筋を伸ばして静かに座る。

菓子のいただき方(薄茶の場合)

薄茶では、抹茶をいただく前にお菓子をいただきます。
一人ずつ銘々皿に乗せられたお菓子を、懐紙を使って静かにいただきましょう。

参考:菓子のいただき方(濃茶の場合)

  1. 懐紙を膝に広げ、菓子を受け取る。
  2. 黒文字で一口大に切り、静かに味わって食べる。
  3. 食後は懐紙で口元を押さえ、器を静かに次の人へ。

薄茶の作法(うすちゃ)

個別に振る舞われる薄茶の基本手順:茶碗の扱い方、飲み方、拝見のマナー。

  1. 茶碗を右手→左手にのせて一礼。
  2. 茶碗を右に2回ほど回して正面を避け、数口でいただく。
  3. 飲み終えたら飲み口を指で軽く拭き、懐紙で押さえて拝見する。

参考:濃茶の作法(こいちゃ)

一碗を数人で回して飲む濃茶。更に静粛さと儀礼性が重んじられます。

  1. 主客が最初に一口飲む。「お先に」と一言添える。
  2. 次客は口を清めてから受け、同様に一口で飲む。
  3. 茶碗は拝見後、丁寧に次へ渡す。静けさを重んじる。

濃茶の回し飲みについて
コロナ禍では、感染防止の観点から、濃茶を複数人で回し飲みする「回し飲み」は一時的に控えられました。その代わりに、各客が一人分ずつ点てられた濃茶をいただく「各服点(かくふくだて)」が推奨されました。
濃茶の作法は、流派や茶席の状況、参加者の関係性によって柔軟に対応されています。回し飲みを再開する流派も増えてきていますが、感染リスクや参加者の安心感を考慮し、各服点を続ける場合もあります。今後も状況に応じて、適切な作法が選ばれていくことでしょう。

客の順番と役割

主客・次客・末客それぞれの役割と、席での立ち回りの基本。

役割主な動き
主客挨拶や亭主とのやりとりを代表して行う
次客受け渡しの補佐、流れを整える
末客道具の最後の整理などを行う

茶道具の拝見

道具を拝見する際の基本マナー(帛紗の使い方、正面の扱いなど)。

  1. 道具を触る際は帛紗を使い、直接手で握らない。
  2. 正面を相手に向け丁寧に扱う。作家や由来を尋ねるのは控えめに。

退席の作法

会の終わりの挨拶、床の間への礼、退出時の所作。

  1. 亭主へ「ごちそうさまでした」と挨拶。
  2. 床の間へ向かって一礼し、にじり口から静かに退出。
  3. 露地で再度一礼して終了。

心の心得(和敬清寂)

最後に、茶の湯で最も大切な精神的な教え「和・敬・清・寂」について。

  • :互いに和やかに
  • :道具と人への敬意
  • :身も心も清らかに
  • :静けさの中の豊かさ

補足と参考

初心者向けの基本をまとめました。正式な流派や格式の高い席では細部の所作が異なるため、初参加の際は亭主や席主の指示に従ってください。

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