誤情報に騙される心理の仕組み|「確証バイアス」と「エコーチェンバー現象」

脳のイラストとそれを取り巻く情報の世界 時事ひとしずく

前回の記事で「ファクトチェック」の重要性について解説しましたが、今回はなぜ私たちが誤情報を信じてしまうのか、その心理の仕組みを見ていきます。
現代はスマートフォンやSNSが普及し、いつでもどこでも大量の情報にアクセスできる時代です。しかし、その便利さゆえに、誤った情報や偏った情報も簡単に広まってしまうという問題があります。

※この記事にはプロモーションが含まれます。

1. 確証バイアスとは?

確証バイアスとは、自分の信じたい考えや意見を支持する情報だけを集め、それに反する情報は無視したり軽視したりしてしまう心理のことです。
この心理は誰にでも自然に起こりやすく、私たちの認識や判断を偏らせてしまう原因の一つです。

確証バイアスの具体例

  • 好きな政治家や政党の情報だけを見る
    「自分が支持している政治家や政党に都合のいいニュースや意見だけを集めて、反対の情報は避ける」
  • 健康や美容情報で自分の信じたい方法だけ信じる
    「あるダイエット法や健康法を信じていると、それを肯定する口コミや記事ばかりチェックして、反対意見は無視しがち」
  • SNSのタイムラインに表示される好きなタイプの投稿だけ見る
    「自分の感情や好みに合う投稿に「いいね」やコメントをして、違う意見はスルーする」

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2. エコーチェンバー現象とは?

エコーチェンバー現象は、似た考えや価値観を持つ人同士が集まり、その意見が繰り返し反響(エコー)し合うことで、偏った情報環境ができあがる現象です。
特にSNSのアルゴリズムはユーザーが好む情報を優先して表示するため、知らず知らずのうちにエコーチェンバーの中に閉じ込められてしまうことも少なくありません。

エコーチェンバー現象の具体例

  • 特定のSNSグループやフォーラムだけで議論する
    「趣味や考え方が似た人たちだけのグループに入り、その中で同じ意見ばかりが繰り返される」
  • フォローするアカウントが似通っている
    「同じような考えや趣味のアカウントだけをフォローして、異なる意見や新しい視点に触れない」
  • SNSのおすすめ機能で似た内容の投稿ばかり表示される
    「SNSのアルゴリズムが自分が好きそうな情報を優先的に見せるため、似た考えの投稿だけが増えていく」

3. 確証バイアスとエコーチェンバーの相乗効果

確証バイアスがあると、自分に都合の良い情報だけを求め、エコーチェンバーの環境がそれを助長します。
結果として、誤情報や偏った意見がますます強化され、社会全体での情報の分断や対立が生まれることもあります。

4. 誤情報に惑わされないためのポイント

  • 多様な情報源を持つこと:できるだけ複数の異なる視点から情報を集める習慣をつけましょう。
  • 批判的思考を持つこと:情報の真偽を疑い、すぐに信じずに考えるクセをつけましょう。
  • 自分のバイアスに気づくこと:自分の考えや感情が情報の受け取り方に影響していることを意識しましょう。
  • 信頼できるファクトチェックサービスを活用すること:情報の裏付けを取るために、公的なファクトチェック機関や専門サービスを利用しましょう。

おわりに

私たちは毎日、多くの情報に触れていますが、情報の真偽や偏りに気づくのは簡単ではありません。しかし、心理学的な仕組みを理解し、SNSやネットの特性を知ることで、誤情報に惑わされにくくなります。前回の記事と合わせて、ぜひ情報リテラシーを高め、冷静で健全な情報環境づくりに役立ててください。

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