各地で豊漁の兆しを見せる秋刀魚
今年2025年、秋刀魚(サンマ)の水揚げは全国各地で明るいニュースが続いています。
- 北海道・根室では昨年の1.5〜2倍の水揚げを記録し、魚体も大きく脂がのっていると評判。
- 気仙沼(宮城県)でも初水揚げから好調で、漁港や市場が活気を取り戻しています。
- 銚子港(千葉県)では、9月4日の初水揚げで約112トンを記録。これはわずか1日で、過去4年間の総水揚げ量を上回る驚きの数字です。漁師も「これほど大きく脂がのったサンマは珍しい」と語るほど、質の高さも際立っています。
ここ数年は不漁続きだったサンマですが、今年は「豊漁の兆し」が見えてきたと言えそうです。市場に並ぶサンマも大ぶりで、食卓に秋の味覚が戻ってくることが期待されます。
ただし、水産庁の見通しでは「全国的には昨年並みの低水準」とされており、今後シーズン後半の漁獲状況を注視する必要があります。
漁獲量が著しく減少している魚たち
農林水産省の直近の資源評価では、次のような魚種で漁獲量の減少が続いています。
イカ類・サケマス類
資源量が「低位」と評価され、資源回復への取り組みが課題です。
サンマ・スルメイカ・サケ
2014年に合計54.8万トンあった漁獲量が、2023年には10.7万トンへ。10年足らずで約81%減少しました。
サバ類・カツオ類
一部資源で親魚量が減少し、持続的な利用に向けた管理が求められています。
減少の背景にあるもの
漁獲量の減少には複数の要因が重なっています。
- 海水温の上昇
地球温暖化によって北上する海流や水温変化が魚の回遊ルートを変え、従来の漁場に魚が来なくなっています。 - 資源管理の遅れ
国際的な漁獲競争も激しく、日本の沿岸だけで調整しても資源回復が難しい状況があります。 - 産卵や成長環境の変化
餌となるプランクトンや小魚が減少し、魚の成長が遅れたり、生き残る個体数が減ったりしています。 - 乱獲の影響
一時的に需要が高まると過剰に漁獲され、その後資源が急減するサイクルが繰り返されてきました。
まとめ
今年の秋刀魚は各地で豊漁の兆しを見せ、食卓をにぎわす明るい話題となっています。しかし一方で、日本の海全体を俯瞰すると、多くの魚種が減少傾向にあり、食文化や漁業の未来に深刻な影響を及ぼしかねません。
「秋刀魚が戻ってきた!」と喜びながらも、その背景にある資源管理や環境問題にもしっかり目を向けていく必要がありそうです。